大九工務店について

現代に生きる「侘」と「寂」

臨済宗の祖である栄西が大陸から持ち帰った茶の文化は、室町時代から安土桃山時代にかけて独自の成熟を見せました。
大陸伝来の格式ある茶事が豪華絢爛に行われる一方で、草庵の茶と呼ばれる質素な茶事も開かれるようになったのです。

やがて千利休に代表される、余計なものをすべてそぎ落とすかのような、単純にして質素な茶事が注目されるようになります。
そこでは侘(わび)と寂(さび)という日本人ならではの感性が尊ばれました。

この侘と寂にはいろいろな解釈が存在し、これが正解というものはありません。
ただ豪華絢爛な美の世界の対極にある、素朴で、歳月の過ぎゆくままに古びてゆく姿に美を見る境地とでもいいましょうか。
日本古来の「もののあはれ」にも通じる感覚です。

たとえば木の家具が何年もかけて傷んでいく様子、そうした身近な滅びの姿も侘と寂を感じるものといえます。
茶の世界における寂という言葉は、錆と同じ意味合いを持ち、時の経過により自然に古くなってゆく様子を表わします。

日本は戦後の焼け跡から見事に復興し、高度経済成長の時代を経て、いっとき爛熟の様相を見せました。
しかしすでに少子高齢社会となり、「下り坂の時代」に入ったと言われています。
今まさに侘と寂の美意識が精神的支柱になる時代を迎えたのではないでしょうか。